トピックス バックナンバー

1.ホワイトニング・・・Home Tooth Whitening



現在のアメリカの審美歯科の分野で、最も人気があって、歯を削ることなく、効果的で何より高価でない処置としてホーム・ホワイトニングがあります。それには過酸化水素主体の化合物が、歯を白くするために長い間使われてきました。元々それらはクリニックで歯科医師によって応用されてきました。しかし近頃では、新しい方法としてカスタム・トレーを使って、自宅で患者さん自身が歯にホワイトニング・ジェルを塗るようになってきました。 アメリカでは、以前より薬局や雑貨屋でホワイトニング・ジェルを簡単に手に入れることができましたが、より効果的なテクニックは歯科医師によってのみ得られるものでした. 
 ホーム・ホワイトニングの手順はすごく簡単で、ブラッシングとフロッシングの後にカスタム・トレーの中に少量のホワイトニング・ジェルを均等に入れ、1時間から3時間の間トレーを歯並びに合わせて装着するだけです。これだけですからどこででも簡単に行えます。装着したまましばらく眠ることさえ出来ます。
 平均的には最適な白さに変化するのに1~3週間を要します。ブラウン系、オレンジ系やイエロー系の色はブルー系やグレー系の色より早く綺麗に脱色します。通常は年に1度のチェックと追加処置が必要となります。
 この効果的でリーズナブルな処置のあと、白い歯を取り戻した患者さんにはメタル・インレー、クラウンやアマルガムなどの金属色が気になり始める方も多く、オールセラミック・クラウンやラミネート・ベニアに変えたり、さらに本格的な歯列矯正まで希望される場合もあります。ホワイトニングは魅力的な口元を得るためのファースト・ステップになります。

2.赤ちゃんのデンタル・ケアの重要性
  ・・・Early dental care essential



お口の中を清潔に保つとはすべての人に重要なことですが、赤ちゃんにとっては特に大切なことです。 家庭での赤ちゃんの歯のクリーニングや、バランスの良い食事を摂らせること、そして定期的な歯科検診を受けさせることは、両親にとって赤ちゃんの歯を守るために積極的に取り組まなければならない重要なポイントと考えられます。
 一般的に言われている誤解の一つに、乳歯はいずれ抜けるからあまり大切ではないという意見があります。しかしそれは大きな間違いです。乳歯やその歯ならびは健やかな発育のためのファースト・ステップです。乳歯列は物を噛み、健全な食生活を維持するためや、顔面の発育、永久歯列になるための顎の発育の準備に重要な役割を持っています。
 残念なことに虫歯は歯がはえ始めるのと同時に始ります。乳歯の虫歯も痛みを引き起こしますし、歯ぐきの中で発育中の永久歯を傷つけることもあります。
 乳歯の虫歯はいくつかの簡単で基本的な注意事項に従うことで予防できます。第一にミルクやジュースや甘い飲み物を入れたボトルを持たせたまま眠らせないこと。これは、”Baby Bottle Tooth Decay" または”Early Children Caries" のもとになり、小さな子供の虫歯を引き起こします。第二に早期にオーラル・ケアを始めましょう。最初の乳歯がはえてくる前でさえも、授乳の後は清潔なガーゼや柔らかいタオルで、赤ちゃんの歯ぐきをぬぐってあげましょう。最初の歯がはえたら、その時から水でぬらしてブラッシングを始めてあげましょう。歯磨きペーストは必要ありません。最後に、小児歯科医と最初の検診スケジュールについて相談してださい。最初の歯がはえてから6ヶ月以内に歯科医院を訪れることが重要です。以上のことが、健全な発育と美しい笑顔にとって重要なステップになります。

3.審美歯科・・・Fixing crooked, chipped, or worn teeth



 歪んではえた歯、一部かけているかまたはすり減ったような歯といった、見かけ上問題を抱えている方は、多くの場合歯科矯正や歯全体を被せるような治療の必要はありません。

 これらの歯はべニアと呼ばれるもので部分的に被うことが出来ます。それは歯科医が形を削り形成した歯に合わせて、技工室で作られるセラミックまたは樹脂ラミネートです。このベニアは歯と歯の間が大きい症例にもしばしば用いられています。たいへん強度があり、長期間にわたりまるで自分自身の歯のように自然にみえます。


 もう一つの素晴らしい処置はこの技術と同様に奥歯の黒ずみや、アマルガムやその他の金属による詰め物にとって変わり自然な白い歯を取り戻すこともできます。

 もちろんこれらの処置はあなたのかかりつけの歯科医で提供される処置の1つです。

 私はこの技術を含む最新の審美歯科処置を"Las Vegas Institute for Advanced Dental Studies"で学びました。この機関はアメリカの歯科医の間では"LVI"と呼ばれ広く知られています。もしこの記事に興味を持たれた日本の歯科医またはスタッフの方がおられましたら、私たちはこのLVIのコースに参加するために講義の通訳と1つのクラスを準備することも出来ます。またそのクラスは必ずしもラスベガスに行く必要はありません。日本またはハワイで研修を受けることも可能です。興味をお持ちの方・ご質問等は、お問い合わせフォームよりお願いします。

4.アメリカの健康保険制度
  ・・・National Insurance vs Private Insurance



 来月新たに就任し大統領執務室の主となるオバマ新大統領のもとでは”国民健康保険制度”と”個人加入の保険制度”の話題が再び熱気をおびて来そうです。

私達のような一般的な開業医のような個人経営者としては、診療ごとに患者より支払いを受ける自費診療か患者本人が個人的に加入する保険(Private Insurance)による支払を支持しています。

 個人加入の保険制度にも多くの問題はありますが、しかし国民健康保険制度が抱えるであろうと予想される問題に比べれば大したことではありません。

 私達、医療従事者が日々診療する目的は患者により質の高い医療を提供すること、そしてそれによって生計を立てることであると思います。そのことを考えると、話題になっているまさに日本で長らく採用されているような、国の管理による保険制度に参加することは、よい選択ではないと思われます。

 ハワイでは大臼歯の根管処置(歯根の治療)の費用は、1本およそ1000ドルかかります。聞くところによると日本の保険制度ではその10分の1程度の評価しか得られないようです。10分の1の費用で同等のクオリティーの治療を提供するのは当然無理が生じるでしょう。その無理は治療費が低く抑えられた制度をとるヨーロッパ、カナダそして日本などからの移住者の歯科治療の際、根管の再治療の必要性の頻度にもあらわれています。このことは他の国々の治療を否定するのではなく、今さらアメリカにそれらと同様の制度を取り入れるべきではないと考えるだけです。

 民間保険会社においてカバーできる治療費の額も、掛け金に応じてですがかなり低く抑えられています。
 現在も保険でカバー出来ないもののリストを増やし続けて加入者に負担を押し付けています。

 実際ハワイは、アメリカの中では2番目に低い治療費で保険会社と契約しています。ちなみに一番安いのはアーカンソー州です。

 このような保険制度のハワイですが、いかなる制度においても私たちが最も大切にしなければならないもの1つは“患者さんに対する啓蒙”です。プロとしての私たちは日々良質なケアがどのようなものであるか、またそれら治療やセルフ・ケアを気にかけることが医療費抑制にとっていかに大切かを患者に理解してもらうことに心がけねばなりません。もちろんそれ以上に、日々研鑽を重ね治療費に見合った適切な治療を提供することが重要なのは言うまでもありません。

 国民健康保険制度の採用はそれに伴う医療の質の低下をはらんでいます。さてオバマ新大統領の政策やいかに?

5.歯科用双眼ルーペ・・・Loupes



 歯科用双眼ルーペは、歯科診療にとって今や治療のクオリティーを高めるために欠かすことの出来ないグッズになっています。私もかなり前から使っていますが、現在いろいろなメーカーから、様々なタイプのものが発売されて選択肢も広がっているようです。

 アメリカの大学歯学部では、歯学生のデンタル・キットにさえも入って来ているほどです。高価ですが、より正確な診療を目指すためにも、もちろん大変有効なアイテムであることは言うまでもありません。また、術野に近づきすぎることがなくなるために過度に前傾になることがなくなり診療時の姿勢が良くなり術者の疲労軽減にも繋がります。LEDのライトも装着することが出来るので非常に明るい視野を得ることが出来ます。

 最近我家の愛犬CINNIも疲れるらしくルーペを欲しがっています。


6.歯周病と糖尿病・早産・心疾患・・・Periodontitist


 私たち歯科医が日々治療に取り組んでいる歯周病ですが、35歳以上のアメリカ人の75%が、自身が歯周病を発症していることに気付いていないと言われています。歯肉の発赤・出血・腫れなどのサインがあるにもかかわらず、多くの人が歯周病が進行して痛みを感じるまで自覚がないのが実情です。多くの人が自覚しないまま罹患している歯周病ですが全身疾患、とりわけ糖尿病・早産・心疾患に大きな関わりを持っていることが知られています。

 糖尿病の患者が歯周病に罹りやすいことは、以前からよく知られています。また、歯周病以外にも様々な感染症ににも罹患しやすいと言われています。更にもうひとつ、歯周病は糖尿病にもなりやすく、すでに糖尿病にかかっている患者は症状をより悪化させるともいわれています。そして歯周病によって空腹時の血糖値が上昇する可能性があるとも言われています。

 もし妊婦が歯周病に罹患していると、早産の可能性が約7倍に跳ね上がるとされています。原因ははっきりしないのですが、歯周病が進行すると、歯肉の毛細血管から血液循環内に何らかの早産の原因物質が入り込むと考えられています。実際に早産で低体重の子供が生まれたケースの妊婦の羊水を検査すると、羊水内に口腔内の菌が見つかる場合があり、このことは胎児と母体に危険が忍び寄って来ていることを意味します。妊娠の6ヶ月前に歯周病を改善すれば、早産が60%減少するといったデータも報告されています。このことから、もし子供が欲しいと願っている女性は、妊娠前にまずデンタル・クリニック
を訪れて歯周病のチェックを受け、口腔内清掃の適切な方法を理解してからにしてはどうでしょうか?もし歯周病が見つかった場合は、まずその治療から始めることは言うまでもありません。

 歯周病患者は、心疾患に罹り重篤な心臓発作を引き起こす可能性が、健康な歯周組織を有する人より2~3倍高くなるといわれています。お口の中の菌が、腫れて傷ついた歯肉の毛細血管に入り込んで血液に混じって心臓に達し、心内膜炎を引き起こしたり血管を狭めて、狭心症や心筋梗塞を引き起こすこともあります。

 このように歯周病は、様々な状況で私たちの身体に悪影響を及ぼし、時には生命をも奪う疾患の原因にもなりかねません。このような危険から逃れるためにも、お口の定期健診を受けて健康の増進を図りましょう。